糖尿病外来

糖尿病の特色、検査や治療・血糖コントロールなどについて

特色

1) 糖尿病とは
食べ物に含まれるブドウ糖は体内に取り込まれると、エネルギーとして利用されます。しかし、インスリンの作用が弱いとブドウ糖(血糖)を上手く利用できず、血糖値が高くなります。このような状態が続くと様々な合併症を発症します。自覚症状があまり出ないことが糖尿病の怖いところです。検診などで糖尿病の疑いがある方は、早めに受診してください。糖尿病の自覚症状(のどの渇き、飲水量が増える、おしっこに行く回数が増える、食事をしっかり摂っているのに体重が減るなど)が出たら、糖尿病はかなり進行しています。
 

2) 周辺地域との関わり
当院は、月曜日~土曜日まで糖尿病専門外来をしています。糖尿病専門医を中心に、初診の糖尿病患者や、コントロールが悪くて治療がうまくいかない患者に対する専門的治療、糖尿病合併症に対する治療、1型糖尿病患者を対象としたインスリンポンプを用いた持続皮下インスリン注入療法(CSII)の導入も可能です。最近では上腕に装着したセンサーにリーダーをかざすだけで、グルコース値を測定できる「フラッシュグルコースモニタリング(FGM)」システムも導入し、低血糖や血糖変動の少ない、よりよい血糖コントロールの実現に努めています。治療が安定したら、かかりつけの先生に紹介し、血糖コントロールに対して再度治療が必用の際は、また当院に来てもらうという地域連携システムも充実しています。
 

3) 教育入院について
1週間の教育入院では患者さんに合った治療法の選択、合併症の精査を行います。個別指導では、各自に合わせた実際の食事療法、それぞれの日常生活に則した指導を 行います。 医師、管理栄養士、看護師、薬剤師、検査技師、理学療法士など医療スタッフが丁寧に教えます。
 

4) 充実した糖尿病ケア・チーム医療
治療は糖尿病内科医チームが中心となって行いますが、糖尿病の合併症として関係が深い、腎臓内科による透析予防プログラム、眼科による糖尿病性網膜症の管理、皮膚科によるフットケアなど各科との連携、コメディカル中心の糖尿病ケア・チーム医療が充実しています。かがやき会という糖尿病患者会もあり、患者さん同士のつながりもでき、糖尿病勉強会を通じた情報の共有や、ウォークラリーなどを通じたふれあいなどがあり、自分一人で治すというより、みんなで協力して治すという意識が生まれます。
 

主要疾患

1型糖尿病・2型糖尿病の他、薬剤や内分泌疾患による二次性糖尿病にも対応しております。
また、糖尿病に加え、高血圧症や脂質異常症、肥満症などの生活習慣病の診療も行っています。
 

主要検査

糖尿病の検査

  • 診断のための検査
    血糖値、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)、75 g OGTT(経口ブドウ糖負荷試験)
  • 病型分類のための検査
    インスリン分泌能の評価:HOMA-β、尿中/血中Cペプチド、グルカゴン負荷試験
    インスリン抵抗性の評価:HOMA-R
  • 治療効果をみるための検査
    血糖値、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)、GA(グリコアルブミン)、1,5-AG(1,5-アンヒドログリシトール)
  • 糖尿病合併症のための検査
    神経障害:アキレス腱反射、振動覚検査、痛覚検査、神経伝達速度、CVRR
    網膜症:眼底検査、蛍光眼底造影法 (眼科にて)
    腎症:尿中微量アルブミン、尿蛋白、eGFR
  • その他
    24時間持続血糖測定
    動脈硬化の評価のための検査:ABI、TBI、頸動脈エコー
     

診療実績

  1. 診療患者数と特色
    令和3年の当科糖尿病患者数は1型糖尿病129名、2型糖尿病1886名です。当科では、食事療法・運動療法の併用による生活習慣の改善、内服薬(経口血糖降下薬)治療の見直しや内服薬にて血糖コントロールが不良な患者さんに対する糖尿病注射薬による治療法の導入(自己注射手技や自己血糖測定手技の確認)も行っております。また、手術に向けて血糖管理の強化が必要な際の周術期血糖コントロールも積極的に行っております。
     
  2. 現状のインスリン療法での血糖コントロールが困難な方へ

    持続皮下インスリン注入療法(CSII:Continuous Subcutaneous Insulin Infusion)
    インスリンポンプ療法とも呼ばれており、腹部や臀部の皮下組織にいれたチューブから基礎インスリン及び毎食毎に追加インスリンを行うものです。
    最大の利点は、時間帯によって基礎(basal)インスリン量の増減が自由に行えることです。
    そのためランニング等運動前に基礎インスリン量を減らしたり、早朝から午前中にかけてインスリンの必要量が増加し血糖値が上昇しやすくなる暁現象への対応も行いやすく、低血糖を減らして良好な血糖コントロールを保つために役立ちます。
    また、追加(bolus)インスリンも、食事や間食の糖質量に合わせて適量を追加することで、血糖変動の大きい方やインスリン頻回注射でコントロール困難な方でも、患者さんのやる気があればスタッフもサポートを行いますので、良好な血糖コントロールを目指せます。

    image1
    ピンク色や青色もあります

     
    持続血糖測定(CGM:Continuous Glucose Monitoring)
    上腕裏側に小さな丸いセンサーを装着することで、皮下の間質液のブドウ糖濃度を15分毎に自動で連続して最大14日分確認できます。センサーを上腕後部に装着するのみで、特に操作の必要もなく、入浴や運動も可能です。夜間も含め連続した血糖値の推移を確認することで、これまで気付かない時間帯に起こっていた低血糖や意外な時間帯の高血糖などを把握し、今後の治療に役立てることができます。こちらは外来での施行も可能です。

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    実際につける丸いセンサーは左のもので、500円玉くらいの大きさです

      

  3. 入院について
    外来通院にて糖尿病治療をされている方の食事療法や運動療法を含めた生活習慣の見直しや、インスリン導入の際の単位数調整や手技の獲得を行う他、糖尿病教育入院も行っております。
    糖尿病を初めて指摘されて、これからどんな治療が必要でどういったことに気を付ければいいのか、現時点で合併症はあるのか、今後自宅での食事や外食時に気を付けることはあるか、低血糖とは?その時の対応は?など医師や看護師、管理栄養士と共に糖尿病に対する知識や理解を深め、今後の良好な血糖コントロールを目指します。
    また昔糖尿病について習った気はするけれど覚えていない、このあたりでもう一度自分の病気と向き合おう!という方ももちろん可能です。
    糖尿病は、血圧、体重、血圧、脂質の良好なコントロール状態を維持し、糖尿病合併症の発症・進展を阻止することを目指します。そして健康な人と変わらない日常生活の質(QOL)の維持と寿命の確保を最終目標として、一緒に頑張っていきましょう。
     

糖尿病教育入院

糖尿病は早期から血糖をコントロールすることで合併症の発症や進行を遅らせることができます。そのためには糖尿病についての理解を深め、自己管理をすることは非常に重要となります。そこで、当院では患者様、ご家族の方が糖尿病を正しく理解していただくため、医師をはじめ、管理栄養士、薬剤師、看護師などの糖尿病療育指導士により、充実した糖尿病教育入院のプログラムを実施しております。

〇糖尿病教育入院 1例

image3クリックで拡大します。

 

血糖コントロール入院

血糖コントロールが外来加療では困難な状態、急激に血糖コントールの増悪した場合は入院により血糖コントロールを行っております。積極的にインスリン療法を導入し、高血糖状態による糖毒性を解除し、血糖コントロール不良の原因検索を行う一方で、インスリン療法の継続の必要性の有無を見極め、良好な血糖コントロールを維持できるよう外来加療につなげる治療の決定を行っております。

適応
  • 外来での血糖コントロールが困難
  • 急激な血糖増悪
  • HbA1c 8.0%以上
  • 繰り返す低血糖
精査
  • 眼科受診による網膜症の評価
  • 増悪因子の検索(CT検査、腹部超音波検査など)
  • 内因性インスリン分泌能、追加インスリン分泌能の測定
  • その他合併症の評価
血糖測定
  • 毎食前と眠前の4回測定から食後2時間値を含め7回の血糖測定
  • 場合によっては24時間血糖測定(CGM)
治療
  • 栄養士による食事療法
  • 理学療法士による運動療法
  • インスリン療法の導入
  • インスリン療法+経口血糖降下薬の併用
  • 経口血糖降下薬のみでの加療

 

学会認定

日本糖尿病学会認定教育施設

 

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