2024年4月より「医師の働き方改革」が始まります

 医師の働き方改革

日本の様々な病院で勤務する医師が担う業務は、診療だけでなく様々な検査や手術、患者家族への説明や会議、事務作業など多岐にわたります。さらに、オンコールや日勤後の当直勤務などによって長時間労働に陥りやすい傾向があると長年指摘されてきました。長時間労働は、精神疾患などによる労働意欲の減退、出生率の低下による人口減少加速など、長期的には労働力の低下を招くとされており、この問題は医師にとっても例外ではありません。

特に20代〜30代の医師を中心に長時間労働が常態化し、医療機関勤務の医師の労働時間は「令和元年医師の勤務実態調査」によると1週間あたり平均61時間〜66時間と、労働基準法で定められた週40時間を大幅に超過しています。さらに別の調査を見ると、有給休暇をほとんど取れていない医師は全体の40%で、有給休暇の取得日数に満足していない医師は60%に達するとされています。つまり明らかに異常な長時間労働が常態化し、かつ十分な休暇も取れていないということがわかります。

長時間労働の問題点としては、①医療過誤の原因になる、②医師の健康への影響、③転職の原因になる、などがあり人の命を預かる立場である勤務医が、このような状況であることが非常に大きな問題となっています。
「医師の働き方改革」とは、医師の健康確保と長時間労働の改善を目的に行われる法改正のことです。

2019年4月以降、働き方改革によって多くの業種で時間外労働時間の上限が設けられました。しかし一部の業種では、上限規制の適用が猶予され、医療業界も上限規制の適用が猶予されていた職業のひとつです。これまで医師の勤務形態の特殊性等を考慮し猶予されていましたが、日本の良質かつ適切な医療を、効率的に提供する体制の確保を推進するため、医師にも時間外労働の上限規制を適用する「医師の働き方改革」が2024年4月から始まります。これにより、年間960時間を超える時間外・休日労働は規制されることになりました。当院では「医師の働き方改革」の開始以前から、勤務時間短縮に向けて様々な取り組みを行ってきましたが、今後さらに働き方改革に取り組んで行く必要があります。この改革には皆様のご協力とご理解が必要です。継続して安心できる医療が受けられる体制作りに、皆様のご協力をよろしくお願いたします。

患者さんやご家族の皆様にご理解、ご協力していただきたいこと

1)診療時間内に受診しましょう
「平日の昼に行く時間がないから」といった理由で、夜間や休日などの診療時間外に緊急性のない受診をすることは、「コンビニ受診」とも言われ、医師など医療機関で働くスタッフの負担を増やすことにつながり、提供される医療の質の低下を招くものとして懸念されています。普段から決められた診療時間内での受診にご協力をお願いします。

2)かかりつけ医を持ちましょう
質の高い医療を効率的に提供できるように、医療機関はその機能に応じた役割分担がされています。軽症の患者さんが大きな医療機関(病院等)に集中すると、そこで勤務する医師や医療機関で働くスタッフの負担を増やすことにもつながります。まずは、健康のことを何でも相談でき、身近で頼りになる医師(かかりつけ医)を持つようにしましょう。

3)複数主治医制にご協力ください
患者さんの治療を行う医師がチームを組み、1人の患者さんに複数の主治医が対応することで、ひとりの医師への負担のかたよりをなくし、「チーム医療」で患者さんに提供する医療の質を高めていくための取組が始まっています。
 「いつもの先生」以外の医療スタッフの対応にご理解をお願いします。

4)病状説明などの勤務時間内実施
医師の負担軽減と労働時間短縮に向けた取り組みの一つとして、病状説明等については、医師が緊急と認めた場合を除き、平日は17時まで、土曜日は15時までに限らせていただきます。

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