糖尿病などの慢性疾患をお持ちの方の「災害への備え」ついて

糖尿病療養指導チームより

我が国は「災害大国日本」ともいわれるほど、地震や豪雨による水害、風災などの災害が全国各地で毎年のように起きています。
2024年の元旦に発生した「令和6年能登半島地震」によって、大きな被害がもたらされました。私たちの住むこの地域にも、今後20~30年以内には高い確率で南海トラフ地震が発生することが予想されています。

   出典:内閣府 南海トラフ巨大地震の被害想定について

これまでの災害で被災された糖尿病患者さんは、復旧されるまでの間、食事がバランスよく摂取できなかったこと、病院などの医療機関も被災した影響で必要な内服薬やインスリンなどが手に入らなかったなど、様々な弊害があったことが日本糖尿病学会など複数の学会から報告されています。そのため、被災時に困らないためには、普段から「災害への備え」をすることを啓発しています。

2019年度に糖尿病治療で当院に通院している患者様を対象に『災害時の準備をされていますか』という内容のアンケート調査を行いました。その結果、全体の6割の患者様は災害に備えて何かしらの準備をされていました。しかし、実際に糖尿病のお薬、お薬手帳、糖尿病手帳などを準備している患者様はそのうちの3~4割しかいませんでした。準備をされていない理由について調べたところ、「何を準備したらよいのかがわからない」という回答が多くを占めていました。

 


糖尿病の治療に関する物を準備している人は、準備をしている人の中でもおよそ4割から5割の方でした。

慢性疾患のある患者さんは、お薬やお薬手帳をすぐに持ち出せるように準備しておきましょう!


準備していない人の約半数に当たる人が、準備の内容が分からないと回答されていました。また、準備をしなくても何とかなると思われている人も3割近くいらっしゃいました。

このアンケートの結果を踏まえ、当院では糖尿病患者さんが災害時に準備する必要な物などを記載した、『災害マニュアル』のパンフレットを準備し、少しでも多くの患者様に災害に向けた備えをしていただけるように取り組んでおります。また9月1日の「防災の日」には、「災害への備え」を啓発するポスターの掲示を行っております。

 
 ※ パンフレットは外来棟3階連絡通路に設置しています。

災害の直後には、多くの人は防災意識が高まり「災害への備え」を整えますが、災害から時間が立つと防災意識が「風化する」と言われています。「天災は忘れた頃にやってくる」という寺田寅彦氏が残した警句にもあるように、災害はいつ起こるか分かりません。被災してからでは食料や医薬品などの物資の確保は困難となりますので、是非大きな災害の後を機会に「災害への備え」を見直してみてください。今回のこの記事がみなさまの「災害へ備える」きっかけに繋がれば幸いです。

最後に、今回の地震で被害にあわれた方々の一刻も早い復興をお祈りしております。

10階病棟看護師 糖尿病療養指導士 菊池 庄祐

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