心臓に異常のない胸の痛みにつて

内視鏡外科 部長 竹村 雅至

内視鏡外科部長の竹村と申します。

胸痛のうちでも「胸の下の方の痛み」は日常よくみられる症状のひとつで、このような症状で外来受診される方は比較的多くおられます。胸痛の原因で最も多いのは心臓の病気であり、狭心症や心筋梗塞、解離性大動脈瘤などが原因疾患としてあげられます。
しかし、胸痛があっても、心電図や心臓超音波検査など心臓に対する検査を行っても、異常が無いと診断されることがあります。このような胸痛は心臓に原因がない非心臓性胸痛と呼ばれています。
非心臓性胸痛の原因は様々で、肺の病気や肋間神経痛、膵炎なども原因として知られています。

非心臓性胸痛の原因に占める食道の病気の割合は比較的高く、逆流性食道炎、食道裂孔ヘルニアや食道アカラシアを含む食道運動機能障害などが含まれています。食道の病気による胸痛は、食後に生じたり夜間就寝時や朝方に起こることが多く、血圧や意識状態に影響を与えることはありません。ただし、痛みの感じ方は個人差が多く、食道の病気が原因であっても心臓の発作と考え救急外来を受診される方もおられます。

非心臓性胸痛の原因となる疾患

■ 食道
 ●逆流性食道炎・胃食道逆流症
 ●食道運動機能障害(食道アカラシア・食道痙攣・ジャックハンマー食道など)
■ 肺
 ●肺炎・肺梗塞・気胸・胸膜炎など
■ 神経痛
 ●肋間神経痛・帯状疱疹
■ 大動脈解離などの血管疾患

 

胸痛がある場合はまず心電図やレントゲン検査など心臓の病気を考えた検査を行いますが、これらで異常が無い場合には内視鏡検査が行われることがよくあります。この内視鏡検査により逆流性食道炎と診断される場合もありますが、内視鏡検査で粘膜に炎症がなく軽度の食道裂孔ヘルニアだけであると診断されることもよくあります。食道裂孔ヘルニアによる胸痛の特徴は夜間に多く、就寝時に突発的に生じたり、明け方に口が苦く感じたり、ゲップが多いという特徴があります。

さらに、内視鏡では診断できにくい食道の病気に食道運動機能障害と呼ばれる特殊な病気があります。食道運動機能障害の原因は現在でも解明されていませんが、蠕動と呼ばれる食道の運動に異常が生じ、胸痛が生じることが知られています。

食道運動機能障害の代表的な疾患は食道アカラシアですが、その他に様々な疾患が知られています。この食道運動機能障害の診断のためには、造影剤による食道造影が有用であるとされていますが、診断の確定のためには食道内圧測定と呼ばれる特殊な検査が必要です。

当院外科では2019年より、ハイレゾリューションマノメトリーと呼ばれる食道内圧測定の検査機器を導入し、これまで原因がわからなかった胸痛や喉の違和感などの症状がある方に食道内圧測定を行うことで、食道運動異常が診断されることを経験しています。このような方のなかで外科的治療が症状の改善に有効であった方もあり、非常に有効的な検査であると実感しています。

当院外科では食道疾患の診療を専門にしている食道科認定医が3名在職しており、本検査を担当しております。
原因不明の胸痛や喉の違和感などの症状がある方に当院外科を受診していただければ、診断確定の一助になり得ると考えております。

非心臓性胸痛のための検査

■ 上部消化管内視鏡検査

■ PPI診断的治療(PPIテスト)

■ 食道内圧測定(マノメトリー検査)

■ 食道造影検査

■ 食道内pH測定

■ 胸部CT検査


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